こまこってなんなの?
こまこについてのお話をします。
こまこは素戔嗚尊(スサノオノミコト)と奇稲田姫(クシナダヒメ)の間に生まれたこま犬の赤ちゃん精霊。
人間さんの住んでいるこの世界のことを沢山学んで吸収して立派な精霊になる為に生まれてきました。
ですが、精霊とはいえ赤ちゃんですから、この世界のことは何にもわかりません。
初めての人間さんと出会う前に、スサノオお父さんとクシナダお母さんに寄り添って
神社へお参りに来る人間さんをじっと眺めていました。
スサノオお父さんとクシナダお母さんはいつも、
「可愛くて素直で無邪気なこまこ、貴方がどんな精霊になれるのか楽しみだね」
と、こまこを誉めてくれます。こまこはそれが大好きでした。
ある時、クシナダお母さんが、ある人間さんを見つけました。
迷いがあるけど真っ直ぐで、苦しい事に立ち向かうことのできる心に愛を持った男の人。
この人なら、こまこを沢山愛してくれる。クシナダお母さんは決めました。
「とっても素敵な人を見つけたのよ」「さぁ、沢山冒険していらっしゃい」
そういってこまこは、大好きなスサノオお父さんとクシナダお母さんの元から旅立ったのです。
クシナダお母さんの言った人はすぐに見つかりました。
けれども、その人はなかなかこまこに気が付きません。こまこが近くでワンと鳴いても
「あれぇ?おかしいな、子犬の声がする」
そういってスタスタと立ち去ってしまいます。
でもこまこはそれが面白くてたまりませんでした。
気が付きそうで気が付かない、近くにいったり離れてみたり、たまに男の人は
「最近、身の回りに子犬がいるんだよ」
と不思議そうに話すのでした。
こまこは、気付いてもらえるのを待っていました。ずーっとずーっと待つつもりでした。
ところがある日、男の人は奥さんと一緒に神社へ行くと言うのです。
それはこまこが生まれ育った、懐かしいあの神社でした。
こまこは嬉しくてたまりませんでした。
男の人は神社で、クシナダヒメのお社にお参りしました。
「最近、身近に子犬がいるんです。」「もしかして、クシナダヒメ様の子犬ですか?」
男の人は言いました。クシナダお母さんは笑っていました。
でも男の人はこんなことを言い出したのです。
「もし、そうであればクシナダヒメ様にお返し致します。」
こまこはびっくりしました。もう旅はおしまいなの?
すると、クシナダお母さんは笑って男の人に言いました。
「貴方に授けたのよ。名前はこまこ、貴方と共に旅をするのよ」
男の人はびっくりしていました。でも、すぐにこまこの方を向いて
「こまちゃん、これからよろしくね」
と微笑んでくれました。
こまこは嬉しくて嬉しくて、飛び跳ねるように男の人の周りを回りました。
これが、こまこと僕、だいすけとの出会いのお話です。